日本のフードカルチャーガイド

日本語

Select language

言語を選択してください

×

English
記事を依頼する

一般客も大歓迎! 千住の魚河岸『足立市場』でお買いもの&朝ごはん

東京都の市場といえば、2018年10月に築地から移転した豊洲市場を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。では、東京都が運営する中央卸売市場は、最大規模の豊洲市場を含めていくつあるかご存じですか?

答えは、11ヶ所。「そんなにあるの!」と思った方もいるかもしれませんね。各市場ではそれぞれ魚・食肉・果物・野菜・花きなどを扱っており、青果物専門や食肉専門の市場もあります。

なかでも、都内唯一の水産物専門市場として営業しているのが足立市場。京成線の千住大橋駅から徒歩3分という好立地にあり、一般客でも仲卸売場の見学や、物販売場と食堂の利用ができます。また、2ヶ月に1回の一般開放デー「あだち市場の日」には仲卸売場で買いものができるなど、一般客に開かれた市場なんです。

江戸時代から歴史を紡いできた、千住の魚河岸

足立市場の入り口にある看板
ここから奥の細道の旅を始めた松尾芭蕉の像

足立市場 仲卸売場の様子

足立市場の原点は、主に青果物を扱っていた千住青物市場。天正年間に始まり、江戸幕府の御用市場として繁栄しました。実はこのエリア、松尾芭蕉が奥の細道の旅へ出立した地としても有名で、市場近くには芭蕉像も建てられています。

明治維新後は衰退を余儀なくされたものの、関東大震災により魚市場が日本橋から芝浦へ移転したことで、芝浦まで運びきれない魚介類が南千住に集まるように。そこから南千住の汐入魚市場が誕生しました。

その後、汐入魚市場は西新井に移転。昭和20年には千住河原町の青果市場荷受組合と合体し、東京都運営の中央卸売市場足立分場として現在地にオープンしました。その62日目に第二次世界大戦の戦火で全焼するという災難に遭いますが、昭和43年から新施設の建設をスタート。取扱量の増加で手狭になったために青果部門を分離し、水産物専門市場という現在の形になりました。

現在、足立市場の仲卸業者は50店舗ほど。豊洲市場の10分の1の規模ですが、そのぶん初めて訪れても見学しやすく、市場で働く人や買出しする人を間近に見ることができます。

取扱品の約8%がまぐろ類、約30%があじ・かつお・さばなどの鮮魚で、残りは冷凍品や塩干加工品などだそう。巨大なまぐろが次々とさばかれていく光景には思わず釘づけ…。

この道30年以上、まぐろ問屋の店主から見た足立市場

足立市場 まぐろ問屋 大谷商店 城下智彦さん

足立市場に店を構えるまぐろ問屋の大谷商店は、昭和20年代から営業している老舗。現在店主を務めるのは3代目の城下(じょうした)智彦さん。高校時代にここでアルバイトとして働き始め、いまやこの道30年以上というベテランです。

「店を開ける時間は業者ごとにまちまちで、早いところで12時だったり1時だったり。うちはだいたい3時に開けているよ。まぐろのせりは5時半から」と城下さん。せりの一般見学はできないようですが、仲卸売場内であれば自由に見学でき、業者によっては一般客向けに販売してくれるケースもあるよう。大谷商店には外国人観光客からの見学の問い合わせも多く、市場を楽しんでいただくためにいろいろなサービスをしているそうです。

私たちがまぐろの柵を買うと、特別にその場で切ってくださった城下さん。新鮮なまぐろのとろけるような味わいに舌鼓…。

奇数月の土曜に開催される一般開放デー「あだち市場の日」には、各店から新鮮な魚介類が手頃な価格で販売されます。各種イベントやまぐろの解体も行なわれ、大賑わいを見せるとか。

「毎回ものすごい数のお客さんが来てくれるよ。多いときは1万人以上来るんじゃないかな。まぐろ屋は特に長蛇の列。うちも普段は売らないブツ切りとか、喉や脳天といった希少部位を用意して、喜んでもらえるように努めていますね」

冬が旬のまぐろですが、年間通して売れるそう。この日の売上量は50kg
まるまる太った北海道産いわし。グリルでまるごと塩焼きがおすすめだそう

「町の魚屋も寿司屋もだんだんいなくなって、買出しのお客さんは正直減ってきている。でも、『あだち市場の日』には大勢の人が来てくれるし、日本だけじゃなく海外の人にも興味を持ってもらえるようになってきたのは嬉しいよね。足立市場は都内で唯一の鮮魚専門市場で、地域の人や観光客にも開かれた市場だから、ぜひ気軽に訪れてもらえたらと思います」と城下さん。

普段の市場の様子を体感するもよし、「あだち市場の日」に訪れてお得なお買いものを満喫するもよし。日本の食文化がコンパクトに詰まった足立市場、一見の価値ありです。

店名:東京都中央卸売市場 足立市場
住所:〒120-0038 東京都足立区千住橋戸町50番地
TEL:一般社団法人 足立市場協会 03-3879-2750
営業時間:見学は原則5:00~15:00(繁忙期の12月と、せりの見学はできません)
定休日:Webサイトを参照
Webサイト:http://adachi-shijyo.or.jp

市場で働く人も通う、昭和レトロな食堂で朝ごはん

市場内には海鮮丼や定食が食べられる食堂が5軒ありますが、今回はあえて場外のお店におじゃましてみました。市場を出てすぐの場所にある、その名も『カフェ食堂 みどり』。看板から入り口までレトロな雰囲気満載です。

バタートースト 500円、アイスコーヒー食事を注文すれば100円、単品だと300円(11時以降は400円)(すべて税込み)
まぐろブツ定食 950円(税込み)

市場での仕事を終えた人や地域の人に長年愛されているというこのお店。店内には有名人のサインがずらり。

まずはモーニングメニューのバタートーストをいただきましたが、ふわふわの食パンにバターがたっぷり染み込んでいてとてもおいしい。ゆでたまごとウィンナーもついていました。

名物というまぐろブツ定食も、新鮮なまぐろブツに唐揚げまでついてきてお得感あり。定食を注文すればミニまぐろブツ250円(税込み)をプラスできるという嬉しいシステムもあるようです。

ほかにも、ハンバーグやエビフライ、カキフライなどの定食メニューがいっぱい。ソファ席もあってゆったり食事ができました。市場を満喫したあとの朝ごはん&休憩タイムに、ぜひ立ち寄ってみてほしいお店です。

店名:カフェ食堂 みどり
住所:〒120-0038 東京都足立区千住橋戸町61番地 2F
TEL:03-3882-7996
営業時間:月〜土5:00~14:00(モーニングは〜11:00)、祝・休市日11:00~14:00
定休日:日曜

Writer
三橋温子
Photographer
原田真理
ページトップ