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【日本酒片手に発酵の地巡り#2】 滋賀(後編)鮒寿司と日本酒のペアリング体験

 

日本酒は、日本の歴史と文化が凝縮された発酵食品。
ならば、「同じ土地で育まれてきた発酵食品と日本酒は相性がよいのではないか…」そんな仮説を元に、日本酒と発酵食の相性を追究する発酵料理研究家の真野遥が、全国各地の土地に根付いた発酵食品生産者を取材し、その場で生産者とともに杯をかわす連載です。

お酒と料理の相性、いわゆる「ペアリング」をキーワードに、独自の視点で地域の魅力を掘り下げます。

第一回目の地域は滋賀県。
琵琶湖をぐるりと囲む滋賀県には、鮒寿司を中心とした独自の発酵食文化が形成されています。

前編では、彦根市の「ハッピー太郎醸造所」を訪ね、糀や鮒寿司についてお話を伺いました。
後編では、実際に鮒寿司とともに滋賀県の地酒を頂き、ペアリングを探っていきます。

<前編はこちら>

今回は、ハッピー太郎さん(以下ハッピーさん)にご紹介いただいた酒販店さんで日本酒を調達し、長浜市の料理店にて、特別にお店でペアリング体験させていただけることになりました!

早速、鮒寿司に合いそうな滋賀酒を調達しに行きましょう!

老舗酒屋で滋賀酒を調達!

向かったのは、同じく彦根市にある「酒舗まえたに」さん。
滋賀県の地酒に力を入れている、大正2年創業の老舗酒販店です。
今回は、四代目の前谷吉伸さんに相談しながら、鮒寿司に合いそうなお酒を選びました。

店内には、日本酒はじめ、ワインやビールが所狭しと並べられており、どれを選べばよいのか迷ってしまいます。

「扱っているお酒は全部オススメです!」と前谷さん。ズバリ、鮒寿司に合いそうな日本酒を聞いてみました。

鮒寿司に合いそうなお酒はどれですか?

前谷さん「一口に”鮒寿司”と言っても、作る人によって味は千差万別です。今回はどんな鮒寿司に合わせるんですか?」

真野「なるほど…、やはり鮒寿司は作る人によって味が全然違うのですね。今回は、ハッピー太郎さんの鮒寿司と、住茂登さんの鮒寿司です!」

前谷さん「なるほど。合わせ方はいくつかあると思うのですが、ハッピーさんの鮒寿司は滋賀旭(滋賀県の米)で仕込んいるので、同じ滋賀旭仕込みのお酒『エン 生酛純米(北島酒造)』を合わせてみると面白いかもしれないですね。」

お米の品種 × ペアリング!?

お米の品種からペアリングを考えるとは、なんとも素敵!!

前谷さん「滋賀旭は、昔たくさん作られていた米で、酒造りに使われるような酒造好適米ではなく、食用の一般米です。このお酒は、無農薬の滋賀旭で仕込まれたものなんですよ。」

ハッピーさん「滋賀旭で造られたお酒は珍しいですよね。しかも、生酛仕込み、酵母無添加と、自然の力で醸されたお酒。この製法で、かつ精米歩合70%なのに、まるで吟醸のような締まりと軽やかさで驚きますよ。」

真野「同じ品種の米同士でペアリングさせるなんて、ロマンがありますね。しかも、生酛仕込みのお酒は酒母(お酒を仕込む際の発酵のスターター)を仕込む際に天然の乳酸菌を取り込んで発酵させているので、鮒寿司とは『乳酸菌』という発酵の共通点もあって最高です!!」

…と、いきなり少々マニアックな会話を繰り広げていますが、要はペアリングには何かしらの共通点を持たせることが重要であり、それが例えば材料や製法(今回の場合は「米」と「乳酸発酵」)だったりするのです。
お酒と食事に何かしらの共通点があると、それがペアリングの架け橋になるのですね。

余談ですが、以前北島酒造さんの生酛仕込みの酛すり体験に行ったことがあります。
  
そして、ここでハッピーさんから意外な発言が。

ハッピーさん「以前、うちの玄米鮒寿司と日本酒をイベントで合わせた時は、『赤い糸(笑四季酒造)』が一番好評でした。フルーティーな香りのお酒なのですが、フルーティーな玄米鮒寿司とうまく調和して、『まるでラムレーズンのよう』と表現される方もいらっしゃいましたよ。」

フルーティーなお酒 × 鮒寿司 = ラムレーズン!?

鮒寿司と言えば、強い発酵臭と酸味が特徴。
合わせるお酒は、鮒寿司に負けない”どっしり系”が定番です。

「赤い糸」は、花酵母(花から分離された酵母)を使用した、フルーティーで甘みの強いお酒。しかも、精米歩合50%という繊細さ。いくらクセのないハッピーさんの鮒寿司とはいえ、さすがにお酒が鮒寿司に負けてしまうのではないか?…とも思いましたが、こちらもチャレンジ枠として1本購入。ペアリングが楽しみです!

真野「他にもいくつか、別の角度から合わせてみたいところなのですが、例えば玄米鮒寿司の『玄米』という点に着目して、低精白(あまり精米していない米※)のお酒はありますか?」

精米歩合で合わせてみる!

※日本酒は、お米をどれだけ磨くかにより味が大きく影響されます。
米の表層部にはタンパク質やミネラルなどの成分が多く、精米歩合が高い(あまり精米していない)米でお酒を造ると、香りが低く複雑な味わいのお酒に仕上がりやすく、反対に精米歩合が低い(たくさん精米している)米でお酒を造ると、香りが高くスッキリした味わいのお酒に仕上がりやすい傾向があります。

玄米鮒寿司は、玄米が原材料として使われているため、玄米と同じように、あまり精白していない米から造られたお酒が合うのではないかと思ったのです。

前谷さん「それでしたら、『北島 生酛純米渡船 88%(北島酒造)』が良いと思いますよ。超低精白ですし、こちらも生酛仕込みです。先ほどの『エン 生酛純米』と同じ蔵ですが、こちらの方が低精白ならではのどっしり感があります。」

真野「おお…!それは王道で鮒寿司に合いそうですね。それください!!」

鮒寿司に合いそうなお酒を3本ゲット!
前谷さん、ありがとうございました!

店名:酒舗まえたに(前谷酒店)
住所:〒522-0072 滋賀県彦根市船町5-10
TEL:0749-22-0575
営業時間 :9:30〜20:00
定休日:日曜定休
HP : http://maetani.biz

また、こちらでお取り扱いのない「不老泉(上原酒造)」2種類を別の酒販店で購入し、合計5本のお酒を抱えて、次なる目的地「住茂登」さんに向かいました。

旬の琵琶湖の幸が味わえる老舗料理店「住茂登」

創業約130年。旬の琵琶湖の幸が味わえる「住茂登(すみもと)」さん。
琵琶湖の食材といえば、フナやビワマスなどのイメージが強いですが、実は琵琶湖は四季を通じて様々な食材に恵まれ、特にこの湖北エリアでは、鰻や小鮎、さらには天然の真鴨も獲れるそうです。

そんな琵琶湖の食材を厳選し、シンプルな調理法で持ち味を活かす住茂登さんのお料理を頂くと、「琵琶湖の魚は臭い」というイメージを覆されるのだとか。

フナの刺身に卵をまぶした「フナの子付き」は滋賀県北部の郷土料理

 
木桶仕込みの鮒寿司

さらに住茂登さんでは、木桶仕込みの鮒寿司を作られています。

最近は管理の難しさや木桶職人の減少により、プラスチック製の桶で仕込むのが一般的な鮒寿司ですが、味噌や醤油と同じように、木桶には木目の隙間に目に見えない微生物が棲みつき、特有の風味を醸成してくれるため、唯一無二の深い味わいになるそうです。

写真は住茂登さんよりご提供
  
「代々伝わる住茂登の鮒寿司ですが、レシピなんていうものは無く、『見て盗め』の精神で、分量や漬かり具合などは体で覚えていきます。もっとも、私の場合はパソコンに記録してデータとして蓄積していますが、不思議と学び始めた最初の頃よりも謎は深まるばかりです。笑」

そう語るのは、4代目の藤林空也さん。

大阪で修行を積んだ後、お店に戻られて6年ほど。
鮒寿司の謎と向き合いながら、大将のもとで腕を振るっています。

今回は、”今食べてもらいたい琵琶湖食材を詰め込んだ”という「住茂登おすすめコース」(6,000円)をお願いし、鮒寿司以外にも様々な琵琶湖料理をご用意いただきました。

鴨は、まるで生レバーのようでした…!!
  
琵琶湖の幸盛りだくさんのお料理たち。
鮒寿司と日本酒のペアリングを始める前に、いくつかお料理をいただきました。

湖魚のお造り、本モロコの塩焼き、淡海地鶏の茶碗蒸し、鴨の小鍋…、本当は全てのお料理の詳細をお伝えしたいところなのですが、今回の主役は「鮒寿司 × 日本酒」であるため、泣く泣く割愛。

いずれも臭みが無くて絶品だったのですが、特に印象的だったのは、「蔵雄ポークの冷しゃぶサラダ」。なんと、ドレッシングには、鮒寿司を漬ける際の飯(いい)が使われており、まるでシーザードレッシングのようです。

藤林さん「鮒寿司の飯にはチーズのような風味があり、色々な料理に活用できるんです。鮒寿司に対して苦手意識を持っている方には、是非このサラダをお召し上がりいただきたいですね。苦手意識が払拭されますよ。」

そう話す藤林さん自身も、実は昔は鮒寿司が苦手だったそう。
苦手を克服した経験があるからこそ、鮒寿司を好きになってもらえるアプローチを研究されているのですね。

いざ、鮒寿司と滋賀酒のペアリング!

それでは、いよいよ実食!
今回は、ランチ営業終了後にお時間を頂き、藤林さんと一緒に鮒寿司と日本酒のペアリングを体験しました(ハッピーさんはドライバーのためノンアルコール)。

ハッピーさんの鮒寿司は、白米仕込みと玄米仕込みの鮒寿司(いずれも雄)、そして手前の丸々 一匹のものは、はす子の熟鮓。住茂登さんの鮒寿司は、いずれも白米仕込みで、雄と雌の2種類。
 
それぞれ食べ比べてみると、ハッピーさんの鮒寿司は全体的に軽やかで果実のような酸があり、住茂登さんの鮒寿司はじっくりと噛み締めたくなる旨味を感じます。

同じ鮒寿司でも、作り手によってこんなに味が違うとは…!
どちらかというと、住茂登さんの鮒寿司の方が、旨味のしっかりとした日本酒に合わせたいイメージですね。

そして、鮒寿司に合わせて用意したのは、こちらの5本。
全て滋賀県の地酒です。

“左から順番に…
・赤い糸 吟吹雪 ナデシコ酵母 生酒(笑四季酒造)
・エン 生酛純米(北島酒造)
・北島 生酛純米 渡船88%(北島酒造)
・不老泉 参年熟成 原酒(上原酒造)
・不老泉 木桶仕込み ひやおろし(上原酒造)”

まずは、ハッピーさんの玄米鮒寿司に合わせて「赤い糸」からいってみましょう!
香りを存分に楽しめるように、膨らみのあるグラス(持参したマイグラス)で頂きます。

フルーティーな日本酒と鮒寿司の”妖麗”なコンビネーション

グラスに顔を近付けると、完熟リンゴや洋ナシを思わせるフルーティーな芳香に包まれて、思わずうっとり。口に含むと、ジューシーな甘みが口いっぱいに広がります。

一見、フルーツや生ハムなどに合いそうな味わいですが、鮒寿司と合わせたら一体どんな化学反応が起きるのでしょうか。

…こ、これは!!

真野「たしかに、玄米鮒寿司のフルーティーな香りと、お酒のフルーティーな香りが、見事に調和します!これは”香り”をキーとしたペアリングとして成立しますね。妖麗なコンビネーションです…。」

鮒寿司にフルーティーな日本酒が合うイメージはありませんでしたが、ハッピーさんの鮒寿司なら全然アリ。ただ、お酒にもう少し濃醇さが有ったらより合うのかしら…。

ハッピーさん「あれ?今年の玄米鮒寿司は昨年のものと少し味が違うなあ。身質が柔らかい。水切りの仕方を変えたので、ちょっと水分量が多過ぎたのかなあ。」

藤林さん「ああ…、昨年の方がもっとフレッシュなフルーツの香りがありましたね。今年の方が魚由来の香りが強い印象で、食感はシーチキンのように感じます。」

フレッシュなフルーツ、シーチキンの食感…。
およそ鮒寿司の話とは思えない会話が繰り広げられています。

要は、同じように仕込んでも毎回同じような味にはならないのが、手作り発酵食品の常。
日本酒の味が毎年異なるように、鮒寿司の味も毎年異なるのですね。

藤林さん「もしかすると、昨年の玄米鮒寿司の方がこのお酒に合いそうな気がしますが…、それにしても、塩加減てどうしてるんですか?もしもここ以外でお店をやるとしたら、絶対にハッピーさんの鮒寿司を扱いたいですよ。今まで食べた鮒寿司の中で一番美味しいです!」

ハッピーさんの鮒寿司をベタ褒めする藤林さんと、照れ笑いするハッピーさん
 
ハッピーさん「塩加減が一番難しくて、少なすぎると雑菌が繁殖するし、多すぎると塩辛くなる。その塩梅を見極めながら作っています。…しかし、鮒寿司を手作りしている滋賀県民は、自分の鮒寿司が一番美味しいと思っている人が多いので、あまり他人の鮒寿司を褒めることが無いんやけど、藤林くんは珍しいね。笑」

真野「ああ、いわゆる”手前味噌”も、やっぱり自分の仕込んだものが一番美味しいと思いますもんね!私もそうです。」

ハッピーさん「それもそうなんやけど、味噌よりも鮒寿司はクセが強いから、そのぶんプライドが高くなるんやろうねえ…。」

発酵オタクの私ですが、ディープ過ぎる鮒寿司の世界に時折フリーズ。
 
味噌は大概美味しく造れますが、鮒寿司は下手するとキツい香りや酸味が出てしまい難しいぶん、美味しいものを作れた時の達成感が大きいのですね。鮒寿司は滋賀県民のアイデンティティなのかもしれません。

さて、続いては、ハッピーさんの鮒寿司と同じ原料米である滋賀旭で造られた「エン 生酛純米」を試してみましょう。

滋賀旭×滋賀旭のペアリング

藤林さん「こちらは、ハッピーさんの鮒寿司の原料米でもある品種、滋賀旭で造られたお酒ですね。」

真野「わぁ…美味しい!生酛仕込み、酵母無添加とは思えない綺麗さですが、生酒で少々熟成していることもあり、特有の香ばしさがありますね。これ、ハッピーさんの玄米鮒寿司の飯と合わせるとベストかも。フナの身と合わせると少し負けてしまうけど。」

飯の部分と合わせるか、身の部分と合わせるかで、お酒との相性は大きく変わってきます。

ハッピーさん「この鮒寿司に使っている滋賀旭は肥料をやっていない自然栽培米なので、透明感が最大の特徴。だからこのお酒と合うのかもしれないですね。」

藤林さん「うん…、合う!やっぱりハッピーさんの鮒寿司は軽やかだから、このようなタイプのお酒に合いますね。」

真野「玄米鮒寿司だけではなく、白米鮒寿司や、はす子の熟鮓など、エンは全体的にハッピーさんの鮒寿司に合いますね。鮒寿司=熟成酒と思っていましたが、思えば鮒寿司ってそこまで長く熟成していないですもんね。」

藤林さん「特に、ハッピーさんの鮒寿司は熟成が短めですもんね。うちの鮒寿司は6月終わり〜7月頃に仕込みますが、ハッピーさんは8月頃でしたよね。やっぱりフレッシュ感が違う。
うーん、うちの鮒寿司には何が合うんだろう…。まだ答えは出ていないですが、無ろ過など、ある程度力強めのお酒が合うのかなあと思います。」

真野「ならば、味わいしっかりの『北島 生酛純米 渡船88%』はいかがでしょう??」

鮒寿司 × 低精白の日本酒

真野「こちらは精米歩合88%の超低精白で、しかも平成28年度醸造なので3年以上熟成していますね。…しっかりした味わいですが、意外とユリの花のような香りがあります。」

ハッピーさん「ほんまやね。なんやろ、この香り。」

真野「香りの要素だけ考えれば、ハッピーさんの玄米鮒寿司と合いますが、お酒の味の方が少し強いかも。意外と鮒寿司と熟成酒って難しいのかなあ。…あ!住茂登さんの『炙り鮒寿司』と合わせてみたらいかがでしょう?炙った香ばしさと、熟成酒の香ばしさが合いそうです。」

炙り鮒寿司 × 熟成酒

藤林さん「鮒寿司を炙ると、乳酸菌由来の成分が変化してチーズのような風味が出ます。」

真野「鮒寿司って炙ると美味しいんですね!本当にチーズみたい!私はチーズと濃醇な日本酒は相性が良いと思っているのですが、滋賀のお酒は濃醇なものが多いですよね。やはり、鮒寿司のような食文化に合うように濃醇な傾向になったのでしょうか…?」

ハッピーさん「鮒寿司は日本最古の熟鮓ですからね。700年代の書物にはすでに記録が残っているので、1300年ほどの歴史があります。滋賀の日本酒の味わいに鮒寿司は少なからず影響しているでしょうね。」

これぞ真のソウルフード。
やっぱり、鮒寿司と滋賀酒は最強のペアリングだ!

藤林さん「ただ、もちろん滋賀県内でもエリアによって食文化が違うので、鮒寿司の作り方もかなり違います。フナの目玉を取り除く地域もあれば、目玉を重宝する地域もあったり。麹を使う地域もあるし、鮒寿司を酒粕に漬ける地域もあります。」

鮒寿司の地域性は、とても1日では理解できるものではなさそうです…!
 
真野「鮒寿司の酒粕漬け…!それはとても気になります。それこそ、酒粕と合わさって、さらにチーズのような風味になりそう。あ、チーズといえば、個人的にチーズによく合うと思っている『不老泉』も、そろそろ合わせてみたいですね。今回は、木桶仕込みの鮒寿司に合わせて、木桶仕込みのお酒を用意しました。」

木桶仕込みの鮒寿司 × 木桶仕込みの日本酒

こちらはお燗でいただきました。とくとくとく…
 
真野「上原酒造さんは、私が大好きな酒蔵なんです。酵母無添加、山廃仕込み、天秤絞りという昔ながらの酒造りをされていて、特に木桶仕込みのお酒は絶品なんですよ!」

藤林さん「なるほど…、木桶仕込みとはいうものの、木の香りは案外ほのかで、綺麗な味わいですね。」

真野「このお酒は少し熟成しているので、ミルクチョコレートのような風味がありますよね。不老泉は少し甘みがあるので、鮒寿司の酸味と合わさると甘酸っぱくなって美味しいです。」

不老泉と鮒寿司、やはり相性抜群です!
ただ、不老泉も住茂登さんの鮒寿司も、どちらもさほど木の香りがするわけではないので、「木の香り」という共通点よりは、木桶仕込みならではの奥深いコクが調和したようなイメージでした。

真野「それにしても、住茂登さんの鮒寿司は本当に旨味が強いですね。噛めば噛むほど旨味が出てきます。酸味も相まって、まるで『酢昆布』のような。一体、どうやってこの味を出しているのですか?」

藤林さん「実は、色々と工夫しているところがあるのですが、あまり外に情報を出せないんです…。」

ハッピーさん「鮒寿司で商売をしている人は、あまり作り方を公にしないですよね。糀屋も然り、日本酒以外の発酵食品の作り手は、あまり情報交換しないです。僕は酒蔵出身なので、鮒寿司の作り方も糀の作り方も、どんどん言ってしまいますが。笑」

ハッピーさん曰く、鮒寿司や糀などの発酵食品は製法が味に直結しやすいので、それぞれ門外不出のレシピがあるのだそう。日本酒は、同じように造っても同じ味になりにくいため、情報交換が盛んなのだとか。

鮒寿司、ますます秘密のヴェールに包まれる一方です…!

100人漬けたら100通りの鮒寿司の味がある

大将を囲んでパチリ。ご馳走様でした!!
 
店名:住茂登
住所:〒526-0054 滋賀県長浜市大宮町10-1
TEL:0749-65-2588
営業時間 :11:30~14:30(14:00L.O)、17:00~21:00(20:30L.O)
定休日:不定休
HP: http://sumimoto-kamo.com/index.html

まだまだ止まらない、鮒寿司トーク。
とても1つの記事ではまとめきれないほど、底の知れない奥深さを感じました。

結論からすると、鮒寿司に最もバランス良く合ったのは「エン 生酛純米(北島酒造)」だったように思いますが、もはや分かりやすい結論を出すことすら野暮に感じるくらい、鮒寿司にはミステリアスな魅力を感じました。

しかし、間違いなく言えるのは、日本酒とともに味わったからこそ伺えたお話がたくさんあったということ。香り、熟成、木桶、精米歩合など、様々な角度からペアリングを図ってみることで、美味しさ以上にたくさんの素敵なお話と感動を得られました。

100人漬けたら、100通りの味がある。
手前味噌ならぬ「手前鮒寿司」は、まさしく滋賀県民のアイデンティティ。
いつか、エリアごとの鮒寿司の特色についても取材したいですね。

鮒寿司の魅力に後ろ髪を引かれながら滋賀県を後にし、次なる目的地は京都。
次回は、漬物王国京都にて、すぐき漬けの生産者さんと杯をかわします。
お楽しみに!!

Writer
真野 遥
Photographer
森澤 直人
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