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【日本酒片手に発酵の地巡り #3】 農家が漬ける発酵漬物!?すぐき漬けと京都人の深い関係

 

日本酒は、日本の歴史と文化が凝縮された発酵食品。
ならば、「同じ土地で育まれてきた発酵食品と日本酒は相性がよいのではないか…」そんな仮説を元に、日本酒と発酵食の相性を追究する発酵料理研究家の真野遥が、全国各地の土地に根付いた発酵食品生産者を取材し、その場で生産者とともに杯をかわす連載です。

お酒と料理の相性、いわゆる「ペアリング」をキーワードに、独自の視点で地域の魅力を掘り下げます。

前回は、鮒寿司と滋賀県の地酒のペアリングを通じて、琵琶湖の食文化を深掘りしました。

【日本酒片手に発酵の地巡り#1】 滋賀(前編)ハッピー太郎醸造所

【日本酒片手に発酵の地巡り#2】 滋賀(後編)鮒寿司と日本酒のペアリング体験

第三回目の地域は、お隣の京都。
私は京都が大好きで、年に二回は必ず訪れています。とは言っても、なにか特別な目的を持って行くのではなく、のらりくらりと暮らすように過ごすのが好きなのです。

しかし、今回は珍しく明確な目的を持って訪れました。
お目当ては、京都の伝統的な発酵漬物「すぐき漬け」です。

千年の都として栄えてきた京都は、宮廷や社寺への献上品として優れた野菜が集まり、肥沃な土壌と農家の高い栽培技術とともに京野菜が培われてきました。

そんな京都は、野菜王国であると同時に漬物王国でもあります。
「しば漬け」「千枚漬け」と並んで京都三大漬物の一つである「すぐき漬け」は、京都の中でも上賀茂の地域だけで作られている、伝統的な発酵漬物。

一昔前に、すぐき漬けに棲みつく「ラブレ菌(ラクトバチルス ブレビス)」にダイエット効果があるとテレビで紹介され、にわかにブームが巻き起こったこともあります。

なにやら、すぐき漬けは全国的に見ても珍しい、高温環境で発酵を促す製法が特徴とのことで、かねてより生産現場を見てみたいと思っていました。今回は念願叶い、京都で野菜の振り売り(移動販売)をされているGg’sの角谷香織さんご案内のもと、すぐき漬けの生産現場に伺うことができました!

【角谷香織 Gg’s】
京都の地野菜を生産農家から直接仕入れ、京都市内の一般家庭や料理店などに届けている。
毎週日曜日は大徳寺の近くの町屋で野菜の販売をしている。
HP:http://ggs-kyoto.com/index.html

角谷さんは、京都の農家さんから仕入れた野菜を移動販売する「振り売り」を生業とされており、時期によってはすぐき漬けの販売もされています。今回は、親交の深い3件の農家さんをご案内いただきました。

「…農家さん??」

てっきり漬物屋さんに訪問するものと思っていましたが、訪問先は農家さんとのことです。

不思議に思いながら最初に向かったのは、八隅農園さん。
すぐき菜や賀茂茄子、加茂トマトなどの京野菜を中心に栽培され、最近は新しい品種の生産にも取り組まれている、チャレンジ精神溢れる農家さんだそうです。

訪問した12月初旬は、すぐき菜の収穫と漬け込みの最盛期。
活気のある仕込み現場で、五代目の八隅真人さんにお話を伺いました。

上賀茂の固有種「すぐき菜」って、どんな野菜?

真野「今日はよろしくお願いいたします!早速ですが、すぐき漬けの原料である『すぐき菜』って、一体どんな野菜なんですか??」

八隅さん「すぐき菜は、上賀茂の地域だけで栽培されている伝統的な野菜で、カブの一変種です。漬物にすると特有の酸味が生まれるため、漢字では『酸茎』と書くんですよ。普通に食べてもそこそこ美味しい野菜ですが、ほとんどが漬物として消費されていますね。」

真野「へー!『すぐき』という名前自体が、酸味の強い漬物になることに由来しているのですね!…となると、すぐき漬けが生まれる前の名前はあったのでしょうか?もしくは、漬物になるために生まれてきたのか?もはや、卵が先か、鶏が先か…。」

角谷さん「『すぐき』と言えば、基本的に漬物のことを指しますね。そもそも、漬ける前のすぐき菜が話題に出ることはほとんど無いし、生産現場にいる人じゃない限り、生のすぐき菜を見ることはめったに無いかと思います。」

なんと、そもそも「すぐき」自体が漬物を意味するので、わざわざ「すぐき”漬け”」と言う必要が無いそうです。すぐき菜って、とことん漬物になるために生まれてきた野菜なのですね。

※今回は便宜上、漬ける前の状態を「すぐき菜」、漬物の状態は「すぐき漬け」と記載しています。

すぐき漬けは農家が作るもの

真野「ところで、すぐき漬けは農家さんが作るものなのですね?漬物屋さんは作らないのですか?」

八隅さん「はい、基本的に農家が作るものですね。元を辿ると、江戸時代初期に上賀茂神社の社家(神社に仕える神職の家柄)が御所へ献上するために作っていたそうなのですが、明治以降は上賀茂の一般農家にも広まり、種を自家採種しながら代々受け継がれていくことになります。
すぐき菜の種は一粒たりとも他の村へ持ち出すことが禁じられていたそうで、同時にすぐき漬けの技術も各農家ごとに守られてきました。漬物屋さんで売られているすぐき漬けは、農家から仕入れて販売しているものなんですよ。」

角谷さん「そもそも、すぐき菜を野菜として販売する農家さんはほとんどいないので、『すぐき菜を栽培する=漬物を作るところまでがセット』というのが上賀茂の農家さんの一般的な考え方ですね。ちらっと聞いた話によると、大手企業がすぐき漬けの生産を始めようとしたものの、うまくいかなかったそうですよ。」

八隅さん「レシピらしいレシピが有るわけでもなく、農家ごとに代々伝わる分量やタイミングで漬けているので、なかなか真似できないかもしれないですね。」

真野「はあ〜、それはなんとも京都らしい…!技術はもとより、種すら門外不出のものだとは。献上品であった歴史や独自の味わいからしても、他の漬物とは一線を画す、格の高い漬物なのですね。」

すぐき漬け、まさしく京都を象徴するような漬物です…。
そんな秘密のヴェールに包まれたすぐき漬けの作り方を、こっそり教えていただきました。

①面取り

包丁やピーラーを使って丁寧に皮を剥く「面取り」は、最も人手を要する作業。取材当日も、お手伝いの女性が沢山集まり、せっせと皮を剥いていました。角谷さんも時々お手伝いに入られているそうです。

②荒漬け

荒漬けは、いわゆる下漬けの工程。
面取りしたすぐき菜を巨大な樽に入れ、たっぷりの塩をふりかけ、重石をかけて一晩漬け込みます。荒漬けすることにより、塩の浸透を良くして本漬けに備えます。

伺ったのは朝10時頃だったので、ちょうど面取りしたすぐき菜を樽にどんどん入れているところ。午後には重石をかけるとのことでした。

驚きの光景。角谷さん曰く、その名も「すぐきバーガー」
(写真提供:角谷香織さん)

③本漬け
一晩ほど荒漬けしたら、次はいよいよ本漬け。
荒漬けしたすぐき菜を渦巻き状に並べて、一段ずつたっぷり塩を振りかけていきます。

一般的には、丸太棒の先に重石をくくりつけてテコの原理で圧力をかける「天秤圧し」で漬けるのが特徴ですが、八隅さんの本漬けでは圧力機が使われていました。

圧力をかけて漬汁中の空気を追い出すことで嫌気状態(酸素の無い状態)になるため、嫌気性の乳酸菌の増殖が促されるそうです。一般的な乳酸発酵漬物は、乳酸菌に加えて酵母が働く場合が多いのですが、すぐき漬けの場合は強い圧力をかけているため、乳酸菌のみが繁殖するのだとか。とにかく、他の漬物と比べて「強い圧力」が欠かせない漬物なのですね。

本格的に乳酸発酵を促すのはこの後ですが、本漬けの時点でも乳酸菌が増殖し始め、ぷくぷくと泡が出てきます。これは「塩の華」と呼ばれ、冬の風物詩として親しまれているそうです。なんて風情があるのでしょう。

④乳酸発酵
本漬けの次は、すぐき漬けの最大の特徴とも言える、室(むろ)での発酵です。

40度前後に保温した室で、1週間ほど乳酸発酵させます。
乳酸菌が増えると漬汁のpHが下がる(酸性になる)ため、雑菌が生育できなくなり、保存性が高まります。それと同時に、乳酸菌はすぐき菜を分解しながら、乳酸の他にも酢酸やプロピオン酸や酪酸などの様々な有機酸を生成するため、酸味と風味がさらに強くなります。

温度が低すぎると酸味が不十分で、高温すぎると酸味が強くなりすぎるため、温度管理には細心の注意を払われているそうです。

このように、おおよそ2〜3週間ほどですぐき漬けが完成します。
できたてのフレッシュなすぐき漬けは馥郁とした香りです。
漬け上がったばかりのものをその場で切っていただき、一口パクリ。

ポリポリポリ。なんとも小気味よい歯触り!
しっかりと酸味があるものの、爽やかで清々しい酸味です。
そして何より、製造工程でたくさん塩を使っていたので塩辛いかと思っていたのですが、思いのほか塩味は控えめで、非常にまろやか。ほのかに甘みさえ感じます。

八隅さんのすぐき漬けと日本酒の相性は…!?

それでは、早速日本酒を合わせてみましょう!
今回持参した日本酒は3種類。

・玉川 福袋 純米吟醸 無ろ過生原酒(木下酒造)
・伊根満開(向井酒造)
・富士千歳 純米にごり 生酒(松井酒造)

角谷さんはドライバー、八隅さんも車の運転があるとのことで、私一人でペアリングを体験させていただきました。

今回の大本命は、「富士千歳 純米にごり 生酒」。
このお酒を醸す松井酒造さんは、上賀茂から比較的近い左京区にある蔵。「地域」を合わせたのが一つ目のポイントです。そして、にごり酒というのが二つ目のポイント。やはり、すぐき漬けといえば、ごはんのお供。ごはんと合わせるようなイメージで、にごり酒と合わせてみたかったのです。

優しい笑顔の二人に見守られながら、朝酒を煽る私…
  
予想は大当たり!
にごりの生酒ということで、シュワっとした発泡感があり、爽やかな酸味と見事に調和。トロトロとしたテクスチャーが、すぐき漬けをごはんのように受け止めてくれます。
すぐき漬け、お酒のお供にも最高です。

他のお酒も悪くなかったのですが、爽やかな酸味が特徴の八隅さんのすぐき漬けは、富士千歳との相性がベストでした!この後に伺う森田農園さんは、また違った味わいとのことで、お酒との相性も異なってくるのでしょうか…?期待を胸に、八隅農園さんを後にしました。

【八隅農園】
公式FB:https://www.facebook.com/八隅農園-893876417289143/

続いて向かったのは、上賀茂から北東へ向かって車で20分ほどの、京都市内でも農業が盛んな大原です。すぐき菜は栽培していないものの、なんでも酒屋出身の農家さんがいらっしゃるとのことで、会いに行ってきました!

【ウエンダ アラヤファーム】
酒屋から農家へ転身!鉄ミネラル栽培を実践する新谷太一さん

3年前に酒屋から転身し、新規就農したという新谷さん。
無農薬・無化学肥料で野菜を栽培し、森の持つミネラルの循環に着目した「鉄ミネラル(※)」を利用した農法を実践するなど、新進気鋭の農家さんとして注目されています。

※鉄ミネラル…京都大学の野中鉄也先生が考案した、自然界のバクテリアや微生物を活性化させる技術。

冬場は酒蔵で蔵人もされているそうで、なんと、しぼりたてのお酒をプレゼントしてくださいました!

思わずこぼれる笑顔…。ありがとうございます!
  
12月以降は栽培できる品種が限られ、さらにイノシシなどによる食害が多いため、冬場は蔵人中心に働き、春頃から本格的に農業を再開するという生活を送られているそうです。

今の時期は大根が甘いとのことで、畑をご案内いただきました。

真野「それにしても、上賀茂に比べて、やっぱり大原は寒いですね!手の感覚が無くなってきました…。」
新谷さん「冬の野菜は、寒ければ寒いほど甘みが増します。寒さで凍らないように、糖度を高めるんです。」
真野「なるほど!糖度が高いものってカチカチに凍らないですもんね。野菜って賢い…!」

大根を引っこ抜く新谷さん。
その場で皮を剥き、その場でガブリと囓らせていただきました。

真野「あ…甘い!!」

角谷さん「なにこれ、梨みたい…!!食感もシャリシャリしていますね!!」

衝撃の甘さに二人ともビックリ!!
これほど甘くてみずみずしく、シャリシャリした大根は食べたことがありません。
なぜこんなに甘いのでしょう…??

新谷さん「大原は京都の中心地よりも全体的に寒いのですが、大原の中でもこの畑は特別に寒いんですよ。あそこの山の溝、わかります??あそこに沢が流れていて、ちょうど冷たい風が吹いてくるんです。この畑の中でも、一番寒いところに大根を植えているんですよ。」

鉄ミネラル栽培に加えて、地形まで把握して最適な場所に野菜を植えるとは、農家3年目とは思えない技です。しかし、新谷さんのお話を伺うと、それは単なる知識や技術というものを超えて、自然の循環を重んじた農法であることがわかりました。

元々は、畑山重篤さん率いる「森は海の恋人運動」(”森の養分が川を通じて海に流れこみ、海の豊かさになる”という理論を元に、森に木を植える運動)に感銘を受け、農家に転身したという新谷さん。
新谷さんにとって、農業は単に「美味しい野菜を作る」だけのものではなく、大地のミネラル循環の一端を担うダイナミズムあふれるものなのです。

大原は、京都の里山。
そんな大原に、新谷さんのような農家さんがいることは、とても頼もしいことだと思いました。

大原の山々を眺めながら再び上賀茂に戻り、次に向かったのは森田農園さん。
「一粒の種が命を救う」をモットーに野菜を育てる三代目の森田良彦さんは、20歳からずっと農業に携わっている大ベテランです。

森田さんは、環境保全型農業を推進する「京・有機の会」の初代会長であり、「京野菜マイスター」でもあるという、まさに京野菜のプロフェッショナル。
環境に負荷をかけずに美味しい野菜を作ることを第一に、「無農薬」という言葉にとらわれず、バランスよく健康な野菜を育てることを大切にされているそうです。

森田さん「人も体調が悪い時は薬を飲むやろ。それと同じで、畑も調子が悪い時は薬をあげるんや。もちろん、人に害の無いものを選んどるしな。」

有機肥料を与えすぎると土が富栄養化してしまい、野菜が病気になってしまうそう。まずは土地の微生物叢や栄養状態をしっかりと把握し、その土壌に合った作物を最適な方法で栽培するのが重要であると森田さんは話します。なんと、年に一回は土壌成分の分析を行っているそうです。

森田さん「調子が悪い野菜はくすんどるが、元気な野菜はピカッと光っとるし、虫が卵を産みつけてもバリアがあるので虫が生きていけへん。栄養を与えすぎた肥満体の野菜は病気が出やすいし、虫もつきやすいんや。人間と同じなんよ。」

森田さんのお話には、野菜は人間と同じ生き物であることを改めて考えさせられます。
すっかりお話に聞き入っていたところ、「森田さん、カブと春菊ある?」と角谷さん。

野菜を獲りに畑へ行くとのことで、一緒について行きました。

これから出荷があるとのことで、おもむろにカブを掘る角谷さん。
販売する野菜を自ら収穫することは多いそうです。
信頼関係あってのやり方ですね…!

野菜を抱えて喜々とする角谷さんですが、元々は京都大学で建築学を専攻し、農業とは全く別分野の研究をされていたそう。東日本大震災が起きた2011年に福島を訪れた際、前向きに農業に取り組むカッコいい農家さんに出会ったことをきっかけに農業に興味を持ち、福島の野菜をPRしていく中で地元京都の農家さんに出会い、現在のスタイルに行き着いたそうです。

角谷さん「農家さんごとに様々な考え方や哲学があって、私はそのストーリーとともに野菜を届けていけたらと考えています。京都は野菜の生産地と消費地が近く、京都の農家さんに代々伝わる『振り売り』というスタイルは、まさに京都独自の文化。京都の野菜が美味しいのは、農家さんが振り売りを通してお客様の声にずっと耳を傾けてきたからなのかもしれないですね。」

農業の知識がなかった最初の頃は、八隅さんや森田さんの元で勉強していたという角谷さん。今では家族のような関係で、農家さんたちも、角谷さんがお客様にしっかりと野菜のことを伝えてくれることが嬉しいそうです。

本当は角谷さんのお話もまだまだ伺いたいところなのですが、今回の目的はすぐき漬け。
森田さんのすぐき漬けも見せていただきました。

天秤圧しによる荒漬け、圧力機による本漬け。ここまでは八隅農園さんとほぼ変わらないようですが、森田農園さんの室は、なんと地下にあります!
練炭を熱源に、人肌程度に保温して乳酸発酵させるそうです。

また、森田さんはすぐき漬けを使った加工品も作られており、すぐきの葉っぱを乾燥させた「カリカリすぐき菜」は、そのまま食べるもはもちろん、色々な料理に使えるとのことで、レシピも研究されているそうです。
その他にも、ふりかけや、パウダーなどの商品も。森田さん、アイデアマンです。

カリカリすぐき菜をつまみつつ…
いよいよ本題の、すぐき漬けと日本酒のペアリングです!!

森田さんのすぐき漬けと日本酒の相性を検証

森田さんもお酒を飲めるとのことで、一緒に乾杯!!

日本酒大好きという森田さん。グラスを片手に笑顔が止まりません。
  
真野「森田さん、普段すぐき漬けにはどんなお酒を合わせていますか?」
森田さん「そんなん、おまかせや。どんなお酒でも合うわ。」
真野「そりゃそうだ…!(笑)恐れ入りますが、今日だけは連載のテーマである『ペアリング検証』に、しばしお付き合いくださいませ…!」

ペアリング検証に巻き込まれる森田さん
  
今季のすぐき漬けはまだ出来上がっていなかったため、昨年のものを食べさせていただきました。冷蔵庫で1年近く寝ていたため、熟れて深みのある味わいです。
旨味が強く、どことなくチーズのような香りを感じるような。

…ならば、チーズと相性の良い、このお酒はどうでしょう!

写真左から、「伊根満開」「富士千歳 純米にごり 生酒」
  
京丹後の向井酒造さんが造る「伊根満開」は、古代米を一部使用したお酒。
古代米由来の綺麗なピンク色が特徴で、フランボワーズのようなふんわりとした香りと甘酸っぱい味わいは、まさしく唯一無二。ロゼワインを思わせる味わいで、洋食やエスニックなど、一般的には日本酒に合わせないような幅広いジャンルの料理とのペアリングの可能性を秘めています。

そんな伊根満開を、すぐき漬けと合わせてみると…

真野「わあ!伊根満開とすぐき漬け、合いますね!お酒が甘酸っぱいので、すぐき漬けの酸味にはもちろん調和しますが、それだけでなく、熟れたすぐき漬けの複雑な風味との相乗効果を発揮する気がします。森田さん、いかがですか?」

森田さん「おお、美味しいなあ。うん、ええなあ。」

嬉しそうにお酒とすぐき漬けを味わう森田さんの笑顔が全てを物語っており、もはや難しいことを考えずに「美味しい」という気持ちを全力で分かち合うことにしました。

【森田農園】
HP:http://www15.plala.or.jp/puremorita/

「千年の都」と呼ばれ、伝統が脈々と息づく京都。
時に「よそ者を受け入れない」と揶揄されることがありますが、その本質は、作る人と食べる人の距離が近く、食を育む大地を通じて密接なコミュニティが守られてきたところにあるのではないでしょうか。
“個の時代”と言われる昨今ですが、京都の方々は、常に人や自然との関係性を意識しながら生活しているように思います。
世界規模でモノや情報が行き交う現代において、今でもすぐき漬けが上賀茂の地域だけで守られているように、時代や流行といった大きな波に飲まれずに身近な人との関係を大切にする京都の方々には、学ぶことがたくさんありました。
つくづく、発酵食品は私たちに大切なことを教えてくれますね。

日本酒と発酵食品を巡る私の旅は、まだまだ続きます!!

Writer
真野 遥
Photographer
森澤 直人
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